大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和45年(ワ)11843号 判決

原告 足立信用金庫

理由

一  請求原因(二)、(三)の事実は当事者間に争いがない。

二  その方式および趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき甲第一号証の一および二、並びに弁論の全趣旨によれば請求原因(一)の事実を認めることができ(もつともこの点は原告と被告崔との間では争いがない。)、右認定を左右するに足りる証拠はない。

三  被告らの抗弁についてみるに、被告らの抗弁事実中、被告崔の抗弁(1)の事実は当事者間に争いがないけれども、その余の抗弁事実は全証拠によつても認められないから、被告らの抗弁は採用できない。

なお、原告の再抗弁事実中(1)の事実は、被告らにおいて明らかに争わないからこれを自白したものとみなすべきところ、右事実によれば、訴外岩倉の本件建物賃借権は民法第三九五条によるいわゆる短期賃貸借であつて抵当権者に対抗しうる建物の賃貸借の期間が、抵当権実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は借家法第二条による法定更新をもつて抵当権者および競落人に対抗できないものであるから、仮に、被告崔主張のとおり、訴外岩倉において賃借権を取得し、それを被告崔が譲り受けたとしても、被告らは昭和四六年五月一日以降は右賃借権を以つて競落人たる原告に対抗し得ないものである。

四  よつて、原告の本訴請求は、すべて理由があるからこれを認容

(裁判官 篠清)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例